意味がわかると怖い話 竹藪と殺人

意味がわかると怖い話 竹藪と殺人

妻を殺した。

よみがえるのが怖くて、執拗に首を絞めて確実に殺した。

郊外の竹やぶに遺体を運び、深く掘って、入念に埋めた。

家に戻ってからも、震えは止まらなかった。

今にも泥だらけの妻が玄関をノックしてきそうだった。

翌日の夜、恐怖に耐えられず確かめに行った。

再び車を遠く遠く走らせ、竹やぶにたどり着いた。

昨日と変わらぬ光景を見て、少しでも安心する気だった。

…なんということだ。

生い茂る竹やぶの中で、妻が折れた首をかしげながら、こちらを見つめてまっすぐに立っているではないか。

俺は悲鳴を上げて逃げ出した。ただただ恐怖に震え、闇雲に車を走らせながら、妻に許しを請うていた。

しかし、妻は追いかけてはこなかった。

驚いたことに、事件として報じられることもなかった。

あれはいったい何だったんだろう…。やはり幻覚か…?


それから、長い月日が経って、俺はやっと気がついた。

あれは孟宗竹のイタズラだったんだ。

今ごろ妻は、はるか頭上で骨となって揺れているのだろう。


解説↓


妻の遺体を埋めた場所は、竹やぶだ。

竹は1日でもかなり成長するらしい。

つまり、埋めたはずの妻の遺体を押し上げたのは、成長する竹だ。

遺体が地面から這い出てきたゾンビの話でもなければ、亡くなった妻の怨念ということでもないわけだ。

この話の元ネタは、阿刀田高さんの短編小説「閉じた窓」である。
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