意味がわかると怖い話 泣きじゃくる妻

意味がわかると怖い話 泣きじゃくる妻

真夜中。

わたしはなんとなく隣にいる妻の手を握っている。

冷たいな、などと思いながら細い指先を軽く揉んでいると、突然妻がむくりと起き上がり、わたしにすがりつくと泣きながら言った。

「あなた、助けて。オリオン座から電波が飛んできて私を殺そうとするの」

あまりのことに一瞬私は驚き言葉を失った。

しかし、即座に何が起こったか理解した。

狂ってしまったのである。社会生活を送るストレス、生活への不安。

そうしたもののせいで、精神を壊してしまったのだ。

この世にありえない幻覚を見ているのである。

泣きじゃくる妻をなだめながら、わたしはしかし冷静だった。

今必要なものは、治療だ。病院である。これは異常事態であり、こういう状態を放置していいはずがない。

翌朝、幸い休日だったので、仕事にいく必要はなかった。

わたしは妻を抱き上げて衣装を取替え、部屋の座椅子に座らせると、電話で精神科の予約をとった


普通に考えれば、真夜中に寝ていた妻が突然起きておかしな発言をしても、それは寝言だろう。

だが、「わたし」にはそういう発想がない。

これはおそらく、妻が寝ているのではなく、遺体として横たわっているのだと思われる。

冷たくなった妻の遺体のそばから離れずに手を握っていたのだろう。

この状態で、妻が突然起きだしてわけの分からないことをわめき出せば、当然自分が狂ってしまったと感じても不思議ではない。
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